おはようございます。
志ある経営者の出会いと学びの場
株式会社いかしあい隊の楠本です。
日本の中央銀行である日本銀行が
金融緩和策の一環としてETFの買入を初めて実施したのが2010年12月です。
当初は、残高上限4500億円、期限は2011年12月末、
対象になる株価連動対象指数はTOPIXと日経225のみでした。
その後、金額や対象範囲が拡大され、
現在は年間6兆円を超える買入です。
2010年10月 | 包括金融緩和導入で購入決定 |
2010年12月 | 購入開始(年4500億円) |
2013年4月 | 異次元緩和決定(年1兆円に) |
2014年10月 | 追加緩和(年3兆円に) |
2015年12月 | 年3.3兆円にする緩和補完措置決定 |
2016年7月 | 追加緩和(年6兆円に) |
2018年7月 | 弾力化(6兆円は「変動しうる」) |
2020年3月 | コロナ対応(上限年12兆円に) |
残高は簿価で35兆円、
時価では45兆円にもなると言われます。
東証1・2部・ジャスダック市場の時価総額は、
約671兆円ですから、6.7%の大株主と言う事になります。
今までは購入するばかりでしたから、
株価が下落する事を一定程度防止する効果はありました。
日経新聞2020年11月19日ポジションの記事に
『「日銀ETF」個人へ譲渡案 導入関与の日銀OBが出口策』
という記事が出ています。
ETFの購入は欧米中央銀行が手を付けていない方法で、
・購入をいつまで続けるのか?
・止めるのはいつか?
は株価に大きなインパクトを与える可能性があります。
現在のような中央銀行による
過剰なまでの資金供給に支えられた株式市場は、
資金の流入が止まった時に下げへと転じる可能性は大です。
我が国の個人金融資産残高は、
1903兆円、うち現金預金という形で貯蔵されている金額は
1008兆円で全体の52.9%を占めます。
リスク資産である株式、
投資信託の合計は285兆円で15%です。
日本人、特に資産を多く保有する高齢者は、
いまだに銀行預金が最大の運用資産なのです。
コロナ対策における
財政政策のための日本政府による国債発行
というファイナンスもこの個人金融資産に依存しています。
同じように銀行の銀行である日銀のETF購入の将来に関することを
個人金融資産を裏付けとするファイナンス議論で行うことに
危うさを感じることも必要ではないでしょうか。
※ETFとは、Exchange Traded Fundの略で、
日本語では上場投資信託といいます。
証券会社で売買できる、
株式と投資信託の特徴を併せ持つ金融商品のことです。
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国内証券会社、金融機関系ノンバンク財務部長、経営企画本部長、社長を歴任、牛久保会長の経営者交流会の会員を経ていかしあい隊にジョイン、中小企業、スタートアップ企業のハブになる事をライフワークとする。
おはようございます。
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株式会社いかしあい隊の楠本です。
コロナウィルスの感染拡大による影響は
社会のさまざまな部分に現れていますが、
中でもコロナ禍における低成長・低物価・低金利によって
私たちの老後年金にも暗い影を落としています。
第一生命保険は、2020年10月から年金運用の予定利率を
年1.25%から0.25%へと引き下げました。
これは、いわゆる年金の3階部分である
「確定給付型企業年金」の運用において
約束した利率の維持が難しくなったということです。
今回新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で
各国で実施された大規模な金融緩和が
市場金利の低下に拍車をかけました。
先進国を中心に、『ニューノーマル』と呼ばれる
世界的な低成長・低物価・低金利は、
たとえ今後コロナの感染拡大が収まったとしても
金融が引き締めに転じるのは容易ではないはずです。
金利もそう簡単には上がりません。
つまり、今まで生命保険会社等の機関投資家が行ってきた
先進国の国債での安定的な運用は、事実上困難になったということ。
第一生命は、デリバティブ商品を組み合わせた
新商品を投入する予定です。
これは1.25%の運用をするためですが、
確実に今までより運用は難しくなるので
その分リスクは高まります。
運用利回りが低下すれば
「確定給付型企業年金」を採用している企業の場合、
年金水準を維持するためには掛け金の積み増しが必須で
その分企業の負担は増加します。
また一方で「確定拠出年金制度」も行われていますが、
こちらは従業員側が運用リスクを負うということです。
いずれにせよ、債券(金利)をメインとする運用利回りは、
大幅に下落していくことを覚悟しなければなりません。
一方で、株式市場は世界的な金融緩和を受けて、
リスクオンとなり史上最高値付近や戻り高値圏で推移しています。
このように老後の年金も、
経済と無縁ではいられない時代が到来しました。
従来日本では、銀行預金や国債等が老後資金の受け皿でしたが、
今後は色々なリスク資産も組み入れたポートフォリオを考えざるを得ないでしょう。
「お金の話は難しいから」
と避けてはいられない時代が到来しました。
国民一人一人、お金の勉強が必要ですね。
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